第4節 まとめ

 このライフスタイル調査において、年収や基本給、貯蓄などの収入に関すること、現在の生活への満足感に関すること、食費、住居費、その他の支出や消費行動等に関すること、耐久消費財の保有状況など、勤労者の生活実態を明らかにするため、様々な角度から質問をし、その回答に対して分析を行った。
 その結果、勤労者が現在の生活に必要となる財貨やサービスの提供を受けるために必要な実勢価格(支払っている金額)や、その実勢価格が年齢、家族構成、居住地域によって差異があることなどが明らかになった。このことは、必要生計費算出にあたっての費目ごとの積算をしていくときに重要な参考指標として活用が可能と考える。
 さらに、本調査で得られた重要な知見としては、以下の4点をあげることができる。
 一つ目は、「収入」に関して、年功序列型の賃金カーブにより年齢ともに収入は上昇してはいるものの、「中学生」「高校生」の子どもを持つ世帯(年齢では40代~50代前半)において、生活満足感、収入満足感は低く、将来生活への不安があり、ゆとりや安心がある暮らしができにくいと感じている可能性がある。おそらくは「習い事」や「被服」など、またそれ以外においても小学生を持つ家庭に比べて大きな出費を強いられる時期でもあり、さらには、先行き不安な社会情勢に敏感となり、子どもの大学進学、就職といったことへの漠然とした不安といったことがあるとも考えられる。そのため、将来に対する蓄えが必要でもあるが、住宅ローンや自動車ローンなどの負債もあり、収入と支出のバランスをとることの難しい時期でもあり、この世代への「必要生計費」をしっかりと把握して、ゆとりをもって将来設計ができるような手立てを講じ、能力・意欲を十分に発揮できる中核人材として育成していかなければならない。
 二つ目は、やはり「収入」に関して、地方部の、特に丹波地域で年収は相対的に低く、その結果、収入満足感が得られておらず、また「将来生活への不安感」が高い。年収が低くても必要な生計費が満たされており、将来のための貯蓄が可能であればいいが、調査結果では、地方部特有の状況としては「食費」「住居費」「駐車場代」がやや低額である以外は生活費への影響は見られず、それ以外の費目においては、都市部同様の金額設定(単価設定)があるため、生活費全体としては、都市部とさほど変わらないという現状が推測される。よって、このような地方部の生活費を明らかにし、収入と支出のバランスについて確認する必要がある。
 三つ目は、生活に必要と考える品目で、以前に比べて高価格帯の品目が定着していることである。すなわち、これまで生計費算出のための必要品目については、「自動車」「携帯電話」「パソコン」といった高価な品目については算定基礎に含まれていなかったか、もしくは含まれていたとしても、参考値や一部の世帯に導入するといった扱いになっていた。しかし、これらの保有状況から見てわかるよう、大多数の世帯で幅広く保有されており、現在の勤労者世帯にとっては、生計費算出のための品目算定に含まざるを得ないものと考えられる。
 以上、3つの知見は、本調査研究のこの後のプロセスに必要不可欠な視点であると考える。必要生計費算出は、すべての個人や世帯を対象にすることは難しいが、世帯構成、年齢、居住地等の側面からみた標準的な世帯モデルを設定して、幅広く活用できるようにすることが重要である。そのためには、現実と理想のかい離を埋める必要性の高い世帯をモデル世帯として設定し、その世帯を基準として、当該世帯の収支バランスの改善を見つめなおしていくプロセスを経る中で、他の世帯への汎用性を見出していくことができると考える。