第2節 必要生計費とは

 「生計費」は物価、生活水準、世帯規模の三つで構成されており、生計費をとらえる場合は、これら三つの変化や水準に着目する必要がある(楠田,1985)。
 「物価」については、「消費者物価指数」や「家計調査」、「小売物価統計調査」などから現実に生活品の価格やその変動をとらえ、生計費算出にあたっては実勢を反映させる指標となる。また、「生活水準」については、「ぜいたくな生活」から救済が必要な「極貧な状態」までという対極があり、その対極の間にあるのが、生活保護費算定の「最低生計費」や国家公務員の給与改定に資する「標準生計費」の生活水準の捉え方であるが、「生活水準」は個人のライフスタイルや価値観などの違いが関係してくるものでもあり、「必要な生計費」を算出する際には、量的測定が大変困難な指標でもある。最後の「世帯規模」は、単身世帯から夫婦二人暮らし、子どもや親との同居といった、ライフステージ、家族構成の変化によって生活に必要な費目・品目のウェイトや総支出額が変化するため、「必要な生計費」算出に当たっては、やはり重要な指標となる。

 これら生計費を捉えるための3つの指標(物価・生活水準・世帯規模)について、おそらく、物価、世帯規模は定量的な測定が可能であるが、生活水準については個々の主観的な基準により判断に差が生じる指標でもある。そこで、日本の行政や諸外国の公的機関が政策的に実施する賃金などに関する法令や諸制度とその考え方などを見ていく中で、「生活水準」の指標に関して改めて考察したい。